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2018年5月27日 (日)

大和その5 艦尾の謎と軍艦旗

5月の建造記録。今月はちょいと早めの更新。

艦首錨甲板の作業はまだ終わっておりませんが飽きました・・。
後甲板を弄ってみよ~の巻。

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短艇収容部は出来の良いこのキット唯一の切った貼ったポイントかもしれません。プラモデルの設計の際にはプラの厚みを考慮せねばならず、デザイナーさんも思うように出来ないところでしょうね。しかし、ここまで用意してくれたなら後はお客のほうで何とかしますので。

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薄々攻撃により内火ランチが収納出来るようになりました。だいぶ削りましたが完全に奥まで入れる事は出来ません。ランチの頭のほうを削って尻だけ見えているように作る予定。ランチを無加工で奥まで入れるには航空作業甲板をプラ板で自作する他無いでしょう。格納庫に沿ってこれ以上薄く削ると作業中に割れそうで危険。合わせて航空作業甲板を後ハメ出来るようにプラ板を追加し、各種加工をしておきました。真鍮の部分は自作。プラペーパーだとふにゃふにゃして危ないので真鍮。ここのPEパーツがあると楽なんですが。

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舷側小錨付近の開口部も写真を見ながら整えてみました。小錨、モンキーラッタル、塵捨管などの位置をずらす必要が生じましたが。舷縁に貼ったプラペーパーも一旦撤去。新資料入手によりここは作り直します。武蔵のスパンウォーターは空母や駆逐艦などと同様な施工になっていましたので。

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大和調査プロジェクト本はとても良い。発売時の書評が今ひとつで買わなかった事を後悔しています。メインの大和の画像のほうは確かに今ひとつ。全く役に立たないという事はなく情報は結構拾えます。それよりも武蔵艦上の未発表写真が物凄いの一言。もうスゲー!としか言葉が出ないっすよ。

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武蔵の艦尾キャプスタンを背にした記念写真を見ますと、射出作業用の足場はこのモックアップのように見えました。確かに支柱はあっても不思議ではありませんが、どう見ても自転車置き場(笑)。もうちょっと吟味してみます。

また、同じ記念写真ではカタパルト支筒と航空作業甲板の末端が繋がっていないようにも見えます。大和被害図の描写とも一致しますし、ここはそうなっているのかもしれません。可能性は高いですね。

製作はもうちょっと先になると思います。とりあえず絵に描いて考察。自転車置き場と甲板端共に誰もそんな工作をしていないので不安になって来ますな・・。


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さて、大和の模型作りでは、艦尾端にフェアリーダーが有るのか無いのかという問題を避けて通る事は出来ません。キットの状態は決め手の無い現在では無難な選択であると思います。ただ、フェアリーダーが有るとしてもコロの部分と一体になった巨大な鋳物という事は無さそうです。またフェアリーダーの部分はもうちょっと表情の変化が欲しいところ。そこで考案した3分割案と、陸奥を参考にした2分割案。

このまんま作っても面白そうですが一応自分なりに考察してみないと気になって前に進めません。学研歴史群像太平洋戦史シリーズ20『大和型戦艦2』より一般艤装図一部改正の最上甲板平面、上甲板平面。同シリーズ54『戦艦「大和・武蔵」』より140ページの水谷氏の図。それにキットの塗装図。これら4枚の図を使わせて頂きまして、微妙にズレておりますが統合の上検討してみました。

結論から申しますと結論は出ておりません(笑)。

まず繋留方法から攻めてみましたが、私は船の繋留に関する基礎的な知識も無い海の素人ですのでその点もお許し下さい。艦尾上甲板ではスターンラインとブレストラインの2ラインが最低限必要と考えて作図します。

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爆雷投下台説ではフェアリーダーは2個、ボラードは4個となります。
キャプスタンの使用に大きな問題は生じないものの、前方のボラードに索を通すと短艇軌条の上を跨いでしまい、短艇を引き出せない事になってしまいます。短艇軌条は飛行機運搬軌条よりも背が低いようで(武蔵艦尾上甲板で輪投げをしている写真で確認出来ます。)、索も軌条もダメージを受け難いかもしれませんが、これは爆雷投下台説の弱点かと。接岸中はランチを出す必要が無い(のか?)と考えても索の通り道に障害物の無い設計が好ましい。

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フェアリーダー説ではフェアリーダー4個、ボラードも4個となります。
前方のボラードにかろうじて索を通せるものの、キャプスタンへの索はクレーンの管制器と接触してしまいます。これが艦尾端にフェアリーダーは無いとする説の論拠だと同好の士より教えて頂きました。


こうして見ますと爆雷投下台説もフェアリーダー説もそれぞれ問題がある事が分ります。繋留索の観点からはどちらも素直に模型に採用出来ない。どうすれば良いのか?悶々としておりましたら閃きました。

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商船などでは索の方向を転ずる装置が付いております。海自艦艇でもDDやまぐもは大変複雑な取り回しとなっておりました。スタンドローラーやスナッチブロックの類、キャプスタンの脇に立てるローラーのような物を想定する事が許されるならば問題は一挙に解決します。甲板上にごちゃごちゃと障害物がある場合はこの手しかないでしょう。

問題はそんな都合の良い装置がこの甲板に付いているか否かです。船ですから滑車の類はいくつも積んであるとは思います。回天搭載時代の北上には小さなスナッチブロックがありました。龍鳳には防雷具用コロが付いています。大和型の甲板にもアイプレートの類はあちこちに生えております。大きな力が掛かるはずですからかなり頑丈な物でなければならないでしょう。

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そうした想定が許されるのであればこのように作図出来ます。爆雷説では見事に短艇軌条を回避出来ます。フェアリーダー説でも問題なくキャプスタンを使用出来ます。適当な位置にコロ状の物体を2個想定するだけでこうです。これは面白い。

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堀内少佐撮影の武蔵艦尾写真を拡大してみると何やら怪しげな白い点が2つ並んでおりました。いったい何でしょうね?写真に付いたゴミか?

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白い点の正体と正確な位置は分りませんが適当な位置に置いてみますと、4つのフェアリーダーからどこに索を通しても障害物を回避出来ました。艦尾端フェアリーダーの間に従来説のコロを置いてみると旗竿も何とか回避出来るかな?


では、この仮称ローラー使用説に基いて大和各時期の艦尾上甲板の様子をとりあえずフェアリーダー有り説にて想定してみます。

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公試時とトラック島入港時の想像図。何も問題は生じない。

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レイテ戦時の想像図。単装機銃架と接触しそうですが、取り外し可能な物体でもありますのでなんとかなるかな。爆雷投下台はこの位置に想定しましたが、機銃弾薬筐の可能性も捨て難く、また爆雷投下台にしてはみょうに間隔が空いています。通常片舷2基3基が密集して置かれておりますのでこの点が疑問です。今回は最終時で作りますのでレイテ戦時の考察は先送りとします。

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最終時の想像図。キットの三連装機銃台基部の位置では索を通す事が出来ないので外側舷縁ギリギリに移動。あわせて上空から見た時のバランスを考慮し機銃台を拡大。単装機銃も射界確保の為に移動。爆雷説も好きなので同居させたいのですが空間が無く断念。最終時は撤去したという事でお茶を濁す。

これでまあまあ矛盾は解消されて製作に戻る事は出来ますが、もはや考証ではなく妄想空想の類です・・・。しかしながらこうも公式図や記録写真が少ないとどうにもしようがありません。


こうして、作図上では爆雷投下台説フェアリーダー説どちらを採用しても良い事に(強引に)落ち着いたわけですが、どちらかに決めなくてはなりません。今度は写真に写っている物体の影を造形的に見てみます。実艦写真は出版物より拝借致します(引用元表記略、すみません・・・)。

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モックアップを作りトラック入港時の写真と比較。フェアリーダーを取り付けてピンボケ撮影しモノクロ化。艦尾端の物は前方左舷のフェアリーダーと同じ様な特徴を持った影として写ります。右舷のフェアリーダーも解像度の高い写真では写っているようで大きさの比較も出来ます。同じ様な背の高さと判断。

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爆雷投下台のモックアップは「爆雷手動式投下台一型」の最大外形寸法と思われるサイズで、カバー付きを想定して作ってあります。カバーには日本ニュース映像に見られるカマボコ型の物と、駆潜艇13号型の一部に見られる箱型の物があるようです。何れにしましても隙間が発生して光が漏れ難いのではないかと考えられます。カバー無し爆雷本体未搭載だと光は漏れるかもしれませんが背がだいぶ低くなるはずです。この光が漏れて来ない感じと角ばった印象はむしろ公試中の写真に近いかもしれませんね。公試中の写真にはあきらかに大きな物体が見える写真もあります。あれは臨時搭載物の類と考えてよろしいかと。

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各モックアップを上から見ますとこんな感じ。

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ピンボケ度を上げるとこう。

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レイテ戦時の上空写真との比較。撮影時間や印刷状態で何枚かあるようで。右上の物はネット拾い画像、影の正体を検討されている方がお使いの一枚。借用ご容赦下さいませ。この一枚では艦尾端の物体が作る影が前方フェアリーダーの作る影と特徴が良く似ている点が大変興味深い。矢印で示された4つの影とは大いに趣を異にし、示唆を与えてくれる一枚かも。

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フェアリーダーは真ん中が割れている為に模型のほうでも上から撮ると8の字型のボンヤリした影になります。やはりこれはフェアリーダーなのか?爆雷投下台では一塊の影になろうかと思います。2つの投下台が並べばこの8の字の影を作りそうですが、こんなに小さくはないようです。

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4つの舷縁に並ぶ影は爆雷投下台ではなく、旗竿の周囲にある影がそれだとすると、装填作業がちょっと狭苦しい感じもします。投下台には装填用ダビットのソケットがあり、その回転圏は秋月の図のごときものとなるでしょう。これを艦尾端爆雷投下台説の位置で考えますと装填不可能という事は無いでしょうがやはり旗竿の三脚が邪魔です。もうちょっと人員の作業空間に余裕のある場所のほうが良いと思うのですがどうでしょう。

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レイテの少し斜め上から撮ったものとの比較。角度を合わせた写真が撮れず恐縮。何の影が出ているのか理解出来た部分もあってこの研究方法は良いのですが、艦尾端の影の出方には違和感が残ります。実写では艦尾端の何かはフェアリーダーに見えませんねぇ。黒い塊が集まっていて何だかよく分らない。艦尾端はフェアリーダーと仮定してもその物体の間も暗くなっている感じ。何かごちゃごちゃ荷物を置いているのか。従来説の様にコロとその枠が影を落としているのかもしれませんが、旗竿は舷縁ギリギリに付いていてコロと共存出来そうにありません。呉の1/10の様にコロ枠の上に旗竿が立つ例は軽巡洋艦などに似たような処理が見られますが、大和の旗竿はかなり大きいので甲板に直接付けたほうが良さそうです。1/10の鉄塊のごときコロ枠なら頑丈ですけど。

(追記:その後、より鮮明で大きな画像を見付けました。「Naval History and Heritage Command」で閲覧出来ます。それを見ますとフェアリーダーかもしれない物体の間には特に何も無いように見えます。真上からの写真とさほど違いは無いと言う事で。そりゃそうですけどね。他にも良い写真があるので訪ねてみて下さい。)

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レイテのモックアップはこんな感じ。長く伸びる影を単装機銃と想定しましたが、キットの銃身は太く影も明瞭ですが実銃は細くて写り難いはず。盾付だと考えればある程度しっかり影が出るかも。またこの時の写真では他の場所に単装機銃らしき影がハッキリしない点も不思議・・・。

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最後に堀内少佐の写真と比較。まさにその場所が写っているのに何も断言出来ない一枚。私には艦尾端の何か暗い色の物体の手前に人が何人かいるように見えます。素直に眺めると、物体の輪郭線はフェアリーダーに似ていると思います。大きさや高さはハッキリ写っているフェアリーダーと同じ程度。いや、構造物は何も写っていないと見る方もいらっしゃいましょう。人の体の一部かもしれない。あるいは単なる荷物かも。私もこれを構造物だと断ずる絶対の自信は無いです。見る人によって、また先入観によって、様々な解釈が生まれてしまう一枚。

ま、そんなこんなでフェアリーダー有り説を推したいところですが確信は持てない結果と相成りました。爆雷投下台の装備は大戦後半であろうと思います。大和新造時の重量調査表か何かに爆雷の文字があるようですが、それは艦載水雷艇の物かもしれません。その点確認したいところですがまた今度ね。

疑問は残りますが自分の中でどうにかこうにか折り合いを付けた感です。このまま彷徨っても仕方が無いですから。決定的な資料が発見される事を祈りましょう。誰か艦尾旗竿の元で記念写真撮ってるかもよー。


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艦尾端はフェアリーダーであるという解釈で製作を再開。従来説の3分割型です。トラック島での写真に見える影はどちらかというとまあフェアリーダーかなぁ~という程度の選択理由です。コロは旗竿との位置関係が難しくおそらく取り付けられないと思いますが一応作って確かめてみます。立体で確認する方法は手間が掛かるけど良い方法。

その旗竿を作ります。実艦写真を見て簡単に設計したところ、キットの竿よりちょいと長めで15mmと判定しました。キットのほうは11.5mmくらいでしょうか。クレーン上の空中線支柱が低くなっているのでそれに合わせバランスを取ったのでしょうか?大和型はいつ頃からか空中線支柱の形状が変わっている点は知っておりましたが背も低くなっているのかな。トラック入港時の実艦写真では空中線支柱はもっと高い気配でした。公試中の写真では旗のデカさに驚嘆しましたよ。

工作方法は、軍艦旗も同時に用意して先に竿にくっ付けて、最後に旗竿を甲板に接着する手順で。そういう事なのでまずは軍艦旗から。

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軍艦旗を大真面目に取り付けた事が無いのでスケール感が有ってちゃんと揚旗索で取り付ける方法を模索。艦NEXTの余った金属シールを弄くっていて思い付いた方法が裏紙を剥がして薄くする方法でした。ナイフでカリカリと剥がして、それをメタルリギングに巻きつけて、風になびく形を与える。反対側にも同じデカールを接着してやる事は出来そうな感触で、なかなか良さそうな趣を得るも、ここで金属シールの軍艦旗が尽きる(涙)。

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やはり水転写デカールを使うしかない。試作したところ、デカールを貼ってから皺を付けても問題は発生しないと分る。

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本番。歪み表現の無いほうが好みでしたが、まあ作ってみるかと。様々な大きさの物を何枚か積んでいるとは思いますが大和の軍艦旗はデカイ!艦NEXT金属シールの広い余白部分を使用。手順は以下の如し。写真撮ってないです。

裏紙はプラの溶けるラッカーシンナーで簡単に剥がせました。ぺらぺらのアルミ箔になった状態で0.047mmメタルリギングに巻き付けます。端だけを丸めます。全体を2つに折り畳まないのでたいへん薄いです。意外ときれいに巻けます。そしてアルテコの液を浸透させて接着。

広げた状態でデカールを貼り、縫い針で自作したナイフで旗の形に切り取ります。ひっくり返して反対側にもデカールを貼る。切り取る時にたいてい破れるアルミ箔ですが、これは破れ難いですね。材質が何か違うのかな?ナイフはさほど鋭利ではないと思いますが刃の形は丸いです。5500t型軽巡の艦首みたいな形。それが良かったのかな?

切り取ったら傷を付けないように皺を付けてやります。デカールが片面しか無い時は自由に皺を付けられましたが、両面になると結構硬いのか思うように皺を出せません。少し軟化剤を塗りましたがあまり細かな表現は無理な感じ。しかしかえってそれで良かったのかも。まあまあいい感じです。しばらく乾燥させたらゴミを取って銀色の見えるところに色を塗って、つや消しクリアーでコートしておきます。

では次に旗竿をー、というところで5月終了。


5月もまた考証している時間のほうが長くなりましたが、これも模型ライフの一部。しかしこうして考察を書くと長い、うんざりするほど長い。



追記
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デカールを使わず塗装で自作可能か?信号旗で試作。

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今度は工程を撮っておきました。ただのアルミ箔でも問題ないですな。破れず切れるようになったのは私が以前より器用になったためと判明。普通のデザインナイフでも切れましたが自作ナイフの柔らかな当たりのほうが安全安心です。切り口に銅線を使ってアルテコ液を流し込んでいます。強度に不安は無いです。

塗装のほうは下地にガイアのマルチプライマー、白はラッカー、赤はファレホ、最後に水性コート。

結果は、皺が鋭過ぎて適当な布らしい柔らかさが出し難い。あまり弄くっていると塗膜が割れる。信号旗のような小さな物なら実用化可能と認む。大きな軍艦旗はデカールで両側から抑えられているほうが良い結果が出るように思いました。

また素材を模索してみます。

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